「大いなるマンション、セザール!」
知ってる人はみんなおっさん。
セザールって何?
「セザール」は1985年~2011年まであった不動産企業、セザールコーポレーションのこと。当時はテレビCMの影響で知らない人はいないほど有名だった。
今は穴吹興産に吸収されてしまったのだけど、バブル期はまじでテレビCMがバンバン放送されていた。
小学生のとき、うちのクラスでは体育の時間に縄跳びをぶんぶん振り回して「セザール!」とつぶやくのはお約束だった。
このCM、謎のクマみたいなキャラが馬に乗って颯爽と現れては、川で溺れた子供を助けたり、嵐の中で温泉を掘り当てて動物たちを救ったり、モーセのごとく海を割ったりとまったく意味がわからない。
だけど最後のセリフ「大いなるマンション、セザール!」ですべて持っていってしまう強引なオーラにあふれるCMだった。
セザールボーイというクマをモチーフにカウボーイ風に擬人化したマスコットキャラクターが存在する。1985年ごろから2007年ごろまで、アニメーションのCMが多数作られており、西部劇映画『シェーン』のパロディで終わることが多いことで知られている。
Wikipediaから引用
そうかあれは西部劇のパロディだったのか。しらんけど。
まさかのOVA
そんなセザール、実はOVA(オリジナルビデオアニメ)が存在していたのをご存知だろうか。
「タイムレンジャー セザールボーイの冒険 ローマ帝国編」という作品が、東映ビデオから1999年に発売されていたらしい。
べつに見る気はなかったのだけど、たまたま動画を見つけた。そして触りだけ覗いたつもりが、あっという間に40分経ってエンドロールが始まっていたので何が起こったのかありのままを話すぜ!
時代を先取りしすぎたケモナーアニメ
出てくるキャラはCMでおなじみの「セザールボーイ」と、助手でヒロインの「カレン」がおくるバディもの。
登場するキャラはクマとオオカミぐらいなら分かるが、他の生き物はなんだかよく分からない。とにかく擬人系だ。
どうせチープな低予算アニメなんだろうと高を括っていたのだけど始まって早々、凄い描き込みの背景美術に意表を突かれた。
絵柄は古いけど安っぽさがない。冒頭から光の特効がタダモノではない事を予感させる。
ひと目見てお金掛けてるなーと分かる、制作陣の本気度が伺える。
そしてキャラがよく動く。しかも冒頭から剣による戦闘シーン。オブラートに包んでいるが残虐表現までしっかりある(笑)
さすが90年代、対象年齢が迷子である。レーティング仕事しろ。
「セザール皇帝、あなたの時代は終わったのだ。ここで◯んでもらう!」いきなり重すぎ。
ローマ帝国なのにレーザー銃が出てきたりでもうメチャクチャ。こんな展開、面白くないワケがない。
時代なのか、効果音が北斗の拳の秘孔みたいな「ピキーン!」「チューン!」が多い。
制作陣の本気
このアニメ、企画したセザール側はもっとライトなアニメを想定していたのではないだろうか。
制作陣がオタク特有の空気を読まずに本気出す体質で、歯止めが効かなかった感がハンパない(笑) スタッフが本気すぎる。
- 演出 – 高山秀樹
- 作画監督 – 新井豊
- 美術監督 – 高遠和茂
- メカ・モンスターデザイン – 小林誠
- プロデューサー – 堀部睦生、井上圭
- 原作・脚本・監督 – 康村諒
緻密に組み立てられたSF考証
ストーリーはまさかのタイムリープもの。
時空捜査官「セザールボーイ」は、時空犯罪者「スカーキャット」を追ってローマ時代へ飛ぶ。ヤツはタイムマシンを悪用し、過去を書き換えてしまった。
歴史上、倒されるはずのセザール皇帝がスカーキャットによって救われてしまったのである。そこには渦巻く悪の罠が潜んでいる。
過去に飛んだセザールボーイは、皇帝の子息リディア王子と意気投合してしまう。しかし歴史上では皇帝を倒さなければならない。
さあセザールボーイ、どうするつもり?
脚本が割としっかり組まれていて、そこだけ見ると破綻がないのだ。演出的にはいろいろと破綻しているのだけど・・・()
全体的にはハードボイルド・アクションといった感じ。当時の男の子なら夢中になってもおかしくないと思うんだけどなぜ売れなかったのか?人類には早すぎたのか。てゆか宣伝してないだろこれ。
まさかの豪華声優
- セザールボーイ – 大川透
- カレン・グローリー – 三石琴乃
- スカーキャット – 野沢那智
- リディア – 雪乃五月
- ミュローナ – KaNNa
- セザール皇帝 – 花田光
- ブルーガス – 水内清光
- 時空監視局局長 – 内海賢二
90年代を代表する面々。今どきのアニメだとなかなか難しいところはあるかもしれないが。
とにかく悪役を演じる野沢那智さんがハマリ役すぎてわらう。コブラも真っ青。
あとカレンがタイムリープの難しい話を延々と語るところはミサトさんにしか聞こえない()
総評
まさかこんなアニメがあったなんて想像もしなかった。「ローマ帝国編」ということは、ひょっとすると続編も計画されていたのかもしれない。せっかくなのに勿体ない。
販売価格が1万円超なので、ややお高い気がしないでもないけど当時のOVAならこんなもんだ。
今ならどこかで安く手に入るかもしれない。いや、ひょっとすると逆にプレミアかもしれない。見つけたら買っとけ。
まとめ
「タイムレンジャー セザールボーイの冒険 ローマ帝国編」は要約すると、
- SF
- タイムリープ
- 西部劇
- バディ
- ハードボイルド
- 剣と乗馬アクション
- ワイヤーアクション
- レーザー銃
- ローマ帝国
- ケモナー
- ショタ(王子)
- ラブコメ
- スパイ
- 爆発
- 巨大ロボ(巨神兵)
これだけの要素が40分ぎっしり詰まっているアニメだ。面白くないわけがない。
誰か続編つくって?