タイムラインを見ていてYoutuberの方が「動画の音質を向上させたいけど、どうしたらいいのか分からない」とつぶやいてるのを発見した。なるほど、音は目に見えないので一概に改善しようと思っても原因も対策もわかりにくい分野。
と言うことで今日はマイクの音質を良くする方法について詳しく解説してみよう。
内容的には、マイクで声を収録するすべての人に活かせると思うのでYoutube、Vlog、ゲーム実況、歌、ZOOMを使ったビデオ会議など、あらゆる分野に使えるはず。
こんにちは、いずなです。作曲家なので普段は音楽の話をしてるよ!
今回は音楽の話はしないので悪しからず。あくまで「声の収録」に特化した内容に絞る。そしてなるべく専門用語は使わない。読んでくれたヒトがそのまま次の創作に応用できるテクニックを書き連ねてみる。この記事を見つけたアナタは運がいい。タダで動画のクオリティをアップできる!
動画の音質がショボいとか、部屋の反響や外の雑音が入って困るとか、自分の声がキモいとか、あらゆる悩みを解決してみせよう。
隠れYoutuber!?
かく言う自分も作家でありながら、歌収録の現場に立ち会うことはあるし、自分が機材セッティングから録音、ディレクションまですることだってある。
というか動画編集にハマっていた時期もあったので、やろうと思えば動画作品で納品だって出来る。
というかここだけの話、自分が喋ってる動画がYoutubeのどこかに上がってるので、事実上Youtuberなのだ(探さないでほしい・・・)
動画における音声の重要度
さてここで、動画なのになぜ音が大事なのかというお話、ちょっと想像してみてほしい。
- 「映像が汚いけど音声はクリア」な動画
- 「映像はキレイだけど音質が悪くて聞き取りづらい」動画
どっちが視聴者にストレスを与えやすいと思う?
実は後者なんだ。映像なのだから視覚の方が大切に思われるだろうけど、作品の内容を補完するウエイトは圧倒的に「音声情報」が大きいんだなこれが。
たとえば作品自体の優劣は置いといて、無声映画(とても古い時代の音声が無い映画)と、ラジオドラマだったらどっちの方が面白そう?
あるいはどうしても見たい洋画があるんだけど、翻訳されていなくて英語のまま視聴するしかない。耐えられる?(英語が理解できるヒトは別)
これらは一例にすぎないけど、音声から得られる情報量が軽視できないのは分かってもらえると思う。だから動画の音質はこだわるべき。
やたらBGMが大きい動画や効果音が大きい動画とか、雑音がバリバリ言ってる動画などで観るのを途中でやめたことあるでしょ?耳はストレスに敏感なんだな。
音質が悪い実例
前フリはおわり。ここでいくつかの例を出してみるから思い当たる節があるかチェックしてほしい。
- 喋ると部屋の反響がエコーみたいに入ってくる(部屋鳴り)
- 音量が安定せず、大きかったり小さかったり聞き取りづらい
- やたら鼻息がピーピー聞こえるんだが
- 喋ってる声よりも、自分が動いた音や外のクルマの音が大きく入る
- 声が細い・聞き取りづらい
- 耳元でボソボソ囁いてるようで生々しくてキモイ
- 声がこもる・クリアじゃない
- パピプペポを発音したとき、やたらうるさいノイズが乗る
- サシスセソを発音したとき、やたらうるさいノイズが乗る
- キーボードのカタカタ音がうるさい
- マイクの「ガサゴソ」「ゴトン」がうるさい
- イケメンボイスになりたい
いま思いつく範囲でざっくり挙げてみた。
1~7に関しては、まずやってみてほしいことがある。しっかり声を張って(口をしっかり開けて)積極的にマイクに向かって喋ってほしい。これだけで大幅に改善する。
- 声が小さいから音量にムラができる。
- 声が小さいから相対的に周囲の雑音が大きく入る。
- 声が小さいからマイクを顔に近づけないと音声を拾わない。
コツは、目の前に聞き手が座っていると仮定して、その人に向かって喋ること。(超重要)
これだけで音質はもちろん、喋りも滑舌が良くなってメリハリが生まれ、トークが上手くなった気になる。いや、実際上手くなる。芸能人やトークが上手いYoutuberは、前提としてこれが出来ている。
えー自分はトークスキルなんて無いヒキオタだし、ひとりで喋るのに声なんて張れるワケないよー。
べつに芸能人並みのトークを披露しろなんて言ってない。できる範囲でいいから目の前にペルソナを置いてそれに向かって喋るんだ。ちょっと意識するだけでヒトは変わる。初めはぎこちない。誰だってそう。でも繰り返していくうちに必ずコツはつかめる。
自分で動画を編集していれば、回を重ねるごとに上達ぶりを実感するはず。上手い人はそこを乗り越えてるから他人とは違うんだ。
じゃあ俺が具体的なコツをひとつ教えよう。録画スタートしたら両手で両頬を2発パンパン!と叩く。
そして「わ!」と3回、大きな声を出してみよう。もちろんご近所迷惑には配慮しような。
そして滑舌良く「あ・い・う・え・お!」と言ってから、喋りだしてみてほしい。意外といつもより気分がノッてると感じるはず。滑舌も良く感じると思う。これを毎回、おまじないのように録画スタート時にやってみよう。
慣れてくると自分の気持ちのテンションコントロールができるようになる。スポーツ選手も歌手もプロゲーマーも、みんなこれが上手い。瞬間的にスイッチを切り替えられるんだ。スタートダッシュからテンションMAXでいける。
どの世界でも、成功するヒトってのは気持ちのコントロールが上手い。自分をうまく調子に乗せることができる才能を持っている。
なんか胡散臭い自己啓発サイトっぽくなってきたからこの辺にしとこう
次はそれぞれの項目について、具体的な改善策を紹介する。これでほぼ改善できるはずだし、出来なければもっと根本的なところに原因がある。
具体的な対策例
1.喋ると部屋の反響がエコーみたいに入って気になる(部屋鳴り)
部屋が広いほど、天井高が高いほど、壁の材質が硬いほど、音は反響する。反響が複雑で大きいほど音は遅れてマイクに届く。だから微妙なエコー感が生まれてしまう。
反響音が混ざって収録されてしまうのならば、マイクが反響音を拾わないようにすればいい。
壁に毛布など、厚手の布をぶら下げてみる。オフィスビルなどのエレベーターで時々見かけるアレと同じ。
エレベーターに乗り込んだ瞬間に耳がザワッとするのは、あの布が自然な反響を吸収してしまうから。人の息遣いや唾を飲む音が、なぜか妙にリアルに聞こえると思う。ノイズを吸収してくれるから相対的に音がクッキリ聞こえやすくなる。
ちなみにこんなグッズもある。
関係ないけどエレベーターのあの布は、エレベーターを設置する工事の際に、傷が付かないように養生するためのものらしい。液晶保護フィルムみたいな感じか。だから本来、工事が終わったら外すらしいんだけど、オーナーの意向で掛けられたままになっているってことらしい。
話が逸れた。
他の対策としては、マイクの向きを変えてみる。これも効果大。
試しにイラストのように壁を背中にしてマイクに喋った音と、逆に部屋の広い方を背中にしてマイクに喋った音を録音して聴き比べてみてほしい。明らかに残響の入り方が違うはず。
きっちりテストしてみたいなら、東西南北の4方向それぞれに向かって喋った音を録音して聴き比べてみればいい。
あと音響的な理屈から言うと、壁に正対するのではなく部屋の角を向いて喋ると反響を抑えやすい。
音はまっすぐ伝搬する。目の前の壁で反射した音は、反対側にある後ろの壁に向かって進む。それが反射してまた反対側の壁に向かって進む・・・を繰り返して部屋は反響する。実際にはかなり複雑な理屈が働いてるんだけどここでは置いておく。
だからあえて壁に向かって喋るのではなく、部屋の角に向かって喋るのだ。身体の向きを45度回転させてみる。もちろん部屋の構造や材質、置いてある家具などによっても変わるのでこれが絶対正解というわけではない。ひとつのアプローチとして頭の隅に置いておいてほしい。
2.音量が安定せず、差が大きくて聞き取りづらい
基本的にマイクと口の位置関係は一定に保つべし。市販されている一般用途のマイクはほとんどが単一指向性なので、マイクの正面の音はしっかり拾うけど、横や後ろからの音は拾いにくい。
だから顔は常にマイクの正面に持っていこう。ゲーム実況などの場合、トークさえ録れていれば問題ないので、ピンマイクを胸元に仕掛けるのがいちばん楽。どれだけ体が動いても、マイクと口の関係が一定に保たれるから。しかもノイズも拾いにくくなるので、他の問題も同時にクリアできる場合が多い。
そして自分のトークにムラがあるのなら、ハッキリ目の前の誰かに向かって喋ることを意識しよう。基本的に声は大きいほど良い。メリットしかない。ノイズにも勝つ。外を暴走族が走っていても、声が大きければかき消すことができる。適度に声を張って喋ろう。
3.やたら鼻息がピーピー聞こえるんだが
ヘッドセットタイプ(ヘッドフォンにくっついてるマイク)に多いのだけど、マイクが顔に近すぎたり鼻の位置にあると鼻ピーを拾ってしまう。
これも基本的に声が大きければ気にならない。声が小さいからボリュームを上げる。ボリュームを上げるから喋ってない時の鼻ピーがよく聞こえる。
ヘッドセットを使っていてどうにもならないのであれば、マイクを鼻の前に持ってくるのはやめて、頬のあたりにセットしよう。
気をつけたいのが、良かれと思ってマイクを口の真正面にセットしてはいけない。今度は吐息でポップノイズを拾ってしまう。マイクに向かってフーッ!と息を吹きかけると「ゴワワワワワ!」とゴツいノイズが入るアレ。いちばん凶悪なやつだ。聞き手の耳を破壊する行為だから絶対に避けよう。
4.喋ってる声よりも、自分が動いた音や外のクルマの音が大きく入る
マイクとの距離が遠いか、声が小さい。声を張れ!
5.声が細い・聞き取りづらい
声を張れ!
6.耳元でボソボソ囁いてるようで生々しくてキモイ
これはマイクと口が近いほど陥りやすい。専門的に「近接効果」と言って、マイクと対象が近いほどに低音を含みやすくなるからなんだ。
喋る相手が遠くに行けば行くほど声は遠く小さくなっていく。逆に耳の近くで喋られるとゾクゾクっとするだろう? 絶世の美女の囁きなら大歓迎だけど、ブヒブヒ言う囁きに需要はない。
声を張って、マイクと口の距離を少し離してみよう。
7.声がこもる・クリアじゃない
マイクが口を向いていない。あるいはマイクの性能の問題。
声が籠もる原因はいくつかあるのだけど、(2)で話した「マイクの正面で喋っているか」に気をつけよう。
あとは単純に使ってるマイクの特性が、そもそも高音を抑えたものなのかもしれない。マイクを変えてみるか、後に紹介するEQ(イコライザー)で高音を強調してみよう。
8.パピプペポを発音したとき、やたらうるさいノイズが乗る
パピプペポといった破裂音は、空気の塊をポンッっと吐き出すことで生まれる。
何度も言うが、吐息がマイクに直接当たるのだけは避けよう。どうしても無理ならばポップガードをつけるか、マイクにスポンジを被せてとにかく息がマイクに当たらないように工夫しよう。外で収録するときの「風による吹かれ」対策にも通じるので、マイクにスポンジを被せるのは安価で効果が高い。
9.サシスセソを発音したとき、やたらうるさいノイズが乗る
今度は(7)と逆のパターンで、高域に敏感なマイクで起こりやすい。さしすせそなどの歯擦音は、強いエネルギーを持っているので耳に敏感に反応しやすい音なんだ。解決方法はいくつかあるけど、マイクにスポンジを被せてみるのもひとつだし、少しマイクの正面から横に逸れてみるのもあり。後に紹介するEQ(イコライザー)で高音を抑えるのもひとつ。
10.キーボードのカタカタ音がうるさい
下記参照
11.マイクのノイズ「ガサゴソ」「ゴトン」がうるさい
10.と11.は共通している部分が多い。
簡単に言うと、マイクが直接的になんらかの振動を拾ってしまっている。
いちばん駄目なのが、机にマイクを置くパターン。小型のマイクスタンドを併用するのも同じ。
試しに、キーボードをカタカタ打ちながら耳を机に当ててみてほしい。びっくりするぐらいキーボードの振動が聞こえると思う。普通に空気を通って聞こえる「カタカタ」とは異質の、「ゴトゴト・・・」といった感じで低音が強調されたゴツい音。これがマイクに直接伝わっている。だからキーを打つ音がうるさくマイクに入ってくる。
マイクをスタンドにセットするならば、スタンドは床に直に置くのが鉄則。それもグラグラしない、しっかりした固い床に置くこと。スタンドが不安定でグラグラしていると、振動となってマイクに伝わる。
スタンドがグラグラ揺れたところで音なんか聞こえないかもしれないが、マイクは音だけじゃなくて振動も集音する。座っていようと立っていようと寝転がっていようと、マイクスタンドを使うなら床に直置きだ。
あと、安いスタンドは総じてグラグラする。グラグラするスタンドは必ず振動を生み出す。だからあまり安いスタンドは選ばないようにしよう。コンデンサーマイクなどの高級なマイクは、サスペンションが付いていて振動をカットしてくれるものもある。
ピンマイクを胸元につけている場合は、絶対に触らないようにしよう。ネックレスやネクタイなども気をつけて。布の擦れる振動も「ザワザワ音」として集音される。上着などを重ねて着込んでいる場合は脱いだ方がトラブル防止になる。
ツールを使ったテクニック
とりあえずここまではフィジカルな対策を説明してきた。以降はさらにクオリティをアップさせるテクニックを紹介しよう。マイクを通った後の音に磨きをかけることで、聞きやすくて耳あたりの良い音声に仕上げるのだ。
と言っても大したことはない。録音機材や動画編集ソフトに付いている機能をちょっと触るだけだ。
デジタルレコーダーやオーディオインターフェイス、マイクそのものにも機能がついている場合もあるのだが「ローカット」という機能があるか探してみてほしい。
これはトークなどでは必要のない、声より低い音の成分をカットしてくれるスグレモノ。低域(ロー)には不要なノイズが多く溜まっているので、カットすることでスッキリクリアな音質になる。テレビやラジオ、音楽はもちろん商用流通している作品なら例外なく施されている処理。実は前項の対策の大部分にも影響するので、機能が付いているなら必ず使うべし。
具体的には、単純に「オン・オフ」スイッチだけの場合もあれば「50Hz/100Hz/150Hz」のようにポイントを調整できるものもある。だいたい100Hz辺りでカットしておけば良い効果が得られると思う。ゴトゴト音が激しかったり風切り音がうるさい場合は150Hz辺りでカットするのもアリ。
もし動画編集をされる方は、今どきのメジャーな編集ソフトにはエフェクターが付いているので積極的に使ってみよう。「Premiere」や「DaVinci Resolve」「VEGAS」には標準で搭載されている。
EQ(イコライザー)があればローカット処理も可能。しかも音質のトータルな調整が可能になるので、前項にあった「音が籠もってしまう」あるいは「高音がうるさい」等の対策もできる。この場合は高音を上下することで調整する。
さらにもう一つ余裕があるならば、コンプレッサーを使うことで小さな音を大きく、大きな音は小さく平均的に均すことができるので、耳馴染みよく視聴に最適な音質になる。
録音デバイスについて
今ではスマホの録画機能でも十分視聴に耐える映像を撮影できる。でも内蔵マイクは通話用として設計されているものなので音質は期待できない。一眼レフやGoproも画はキレイに撮れるけど、音に拘るなら外部レコーダーで録音したものを編集時に映像とシンクロさせるのがいい。
高性能マイクを使う選択肢も増えるし、マルチトラック仕様のものを使えば複数本のマイクで録音できる。たとえば4人の出演者にそれぞれピンマイクを付ければ、編集時に4本のマイクそれぞれのバランスやオン・オフも自由自在。プロ級の編集環境が実現できる。しかもそこまでお値段は高くないので、本腰入れて動画を作るなら投資する価値は十分アリ。
Motovlog(番外編)
Vlogの派生として「Motovlog」というジャンルがある。ヘルメットにカメラを付けてバイク目線の走行風景を撮影をするジャンル。
この場合、トークするためにはヘルメット内部にマイクを仕込み、それをカメラなりレコーダーなりに繋いで収録する。これが意外と難しい。
走行中のバイクでキレイなトークを収録するのはそれなりにノウハウがないと難しい。走行中はモロに風を受けるので風切り音が半端ない。バイクのエンジンはむき出しなのでエンジン音がうるさい。なかなかキレイに音を収録するのが難しい。
上手い人はヘルメットに仕込んだマイクと、外部マイクでエンジン音を撮って編集段階でミックスして臨場感ある映像作品に仕上げる。実は自分も昔にやってたことがあって、なかなか楽しい世界。
バイク乗りなら挑戦してみるのもいい。世界が広がる。
まとめ
というわけで長々と書き連ねてきたけど、これらは「基本の基」なので出来てて当たり前。メジャーなYoutubeチャンネルのレベルだったら当然対策していることなので、是非ともマスターしよう。
音が良い動画は滞在時間が伸びる。最後まで見てもらいやすくなるから、YoutubeのSEO評価にも直結する。何より見ているヒトにストレスを与えない動画づくりは、視聴者の高感度アップになる。登録者数にもつながるから、がんばって良い音作りに励んでほしい。
今回はざっと基本的なことを書いてみた。また要望があれば、より細かいところに触れた記事を書くかもしれない。リクエストや質問などあればメールやTwitterで寄せてほしい。
今回はここまで!