世界中で大ヒットの問題作「イカゲーム」
なにやらNetflixのドラマ最高記録を樹立したらしい。「ブリジャートン家」の8200万人(28日)を大きく上回る約1億3200万人を23日で達成したのだと。
日に日にそのタイトルを目にすることが多くなり、ついにはビリー・アイリッシュの口から「2日間で一気見してしまった」と言わせるからには、これはもう放っておけない。
さっそく全9話(約8時間)をイッキ見してヘロヘロになりながらも、感想や知っておくとより楽しめる豆知識などをまとめてみた。他にもイカゲーム好きなら見ておきたい映画紹介と、まさかのグッズ紹介まであるよ。ネタバレ無し。
そもそも「イカゲーム」ってなに?
まず気になるのがそのタイトルにもなっている「イカゲーム」というワード。これは韓国で古くから子どもたちの間で親しまれてきた陣取りゲームのような遊び。地面に「◯・△・□」を描き「けんけんぱ」で陣地を取り合うルール。その模様がイカの姿を模していることから「イカゲーム」と名付けられた。別名「Squid Game」や、「ホップスコッチ(Hopscotch)」とも呼ばれる。
だるまさんがころんだ?
イカゲームのあらすじは、
- だるまさんが転んだ
- カタヌキ(砂糖を焼いたカルメ焼きのようなお菓子を線に沿って切り抜く)
- 綱引き
- ビー玉遊び
- 飛び石ゲーム
- イカゲーム
など古くから親しみのある子供の遊びを、いい歳こいた大人たちが命を懸けて競い合う「デス・ゲーム」が軸となっている。
ここまで聞くと「いい歳こいた大人が何やってんだよ」で終わってしまいそうだけど、当の本人たちは「のっぴきならぬ事情」があってこのゲームに参加しているんだ。
参加者は総勢456名。それぞれの首には一人あたり1億ウォン(約962万円)が掛けられており、脱落するごとにそれは賞金として献上されるルール。最終的に生き残った者ひとりが456億ウォン(約43億円)を手にすることができる。
さらにこのゲームには「脱落=死」という単純明快なルールが敷かれることで、物語の緊張感をより一層高めている。
イカゲームに参加する理由
参加者はワケありな人物ばかり。
- 膨大な借金に追われる者
- 生活苦の末、母親の入院費を工面するため
- 国に置いてきた家族のため
- 極道の世界で干された者
- 証券会社の金を横領して警察に追われる身となった者
- 一攫千金
- 北から亡命してきた者が母親を韓国に呼び戻して幸せな暮らしを手に入れるため
- 刑務所から出所してきたが行く宛がない者
などなど、さまざまな人間模様が深堀りされながら物語は進行していく。身近に居そうで居なさそうな登場人物たちのシチュエーションやストーリーが、視聴者の心をグイグイ引き込んでいく。
いい大人が命を懸けて競うシュール感
予告を見た人ならご存知かと思うが、巨大な「少女ロボ」相手に456人のジャージ姿の大人が「だるまさんがころんだ」を全力で遂行するシーン。もちろん失敗すると自分の命はないのだから全員必至。制限時間内にロボの足元に引かれたラインを越えられなければゲームオーバー。もちろんお命頂戴。
ゲーム中に繰り広げられる人間ドラマがなかなかリアルでおもしろい。先行する者の足を掬って転倒させる者がいれば、人の背中に隠れて進む者。協力し合ったり他人を貶めたり、コバンザメのように他人に乗っかって上手いこと成り上がったりと。まさに社会の縮図。
しかしやってることは子供の遊びというシュールさ。
イカゲームは残酷描写が遠慮ない。まるで屋台の射的のごとく脱落者は射殺される。次から次にいとも簡単に絶命させられる。スローモーションで血飛沫を飛ばしながら倒れていく参加者たち。なかなかに刺激的なシーンがてんこ盛り(笑)しかも絶命シーンのBGMは「fly me to the moon」ときたもんだ。エヴァnげr(
「破壊と美の追求」みたいな奇人めいたテーマが全編通して感じられる。庵野秀明リスペクトかどうかは知らないが、監督のファン・ドンヒョクは日本漫画のファンであることを公言しているので、少なからず影響を受けていることは間違いないと思う。しかしアニメと実写ではさすがにリアリティが違う。
韓国版カイジ?
ファン・ドンヒョク監督自ら語っていることだが、「LIAR GAME」「賭博黙示録カイジ」を見て自身もデス・ゲーム的な漫画の物語を作ってみたかったと言っている。巷では「カイジのパクリ」と言われているみたいだが、そもそも発想がそこから来ているのでパクリも何も・・・
バトル・ロワイヤルを描こうとすると、どうしてもテーマ的に偏ってしまうのは仕方ない。「自堕落な主人公が多額の借金を背負いながらも起死回生を狙う」という設定は視聴者的に感情移入しやすい。
「スパイダーマンの中身は垢抜けない大学生」みたいなものも、「裏と表」「陰と陽」みたいな対比が起こるからおもしろい。
禁断の「第4話」
全話見終わった後に「イカゲーム」でググって、まず出てきたワードがこれ。
「第4話」
はじめは何のことだか分からなかった。しかし改めて早送りで見直してみたところ理由が分かった。これはアレですね。パパ・ママと一緒に見ると気まずいヤツ。しかもなんというか「ベッドシーン」みたいな生易しいものではない(笑)
敢えて多くは語らないでおくけど、少なくとも第4話を見るときは周りに居る人を確認しておこう。多くは語らないけどな。
10年越しの作品化
実はイカゲームの脚本は2008年にアイデアが生まれ、1年掛けてファン・ドンヒョク監督が映画用として書き上げたもの。しかしNetflixに取り上げられる2019年まで延々とお蔵入りにされていたそうだ。
当時はまだこのシナリオに対する理解の難しさや子供の遊びに残虐性を加える演出、暴力的な描写などが否定の理由とされていたらしい。
監督自身も当時はかなりの貧乏で、苦から生み出されたネガティブな感情が作品によりリアリティを与えているように感じられる。
キャスト
- ソン・ギフン / イ・ジョンジェ
- チョ・サンウ / パク・ヘス
- カン・セビョク / チョン・ホヨン
- チャン・ドクス / ホ・ソンテ
- ハン・ミニョ / キム・ジュリョン
- オ・イルナム / オ・ヨンス
- アリ・アブドゥル / アヌパム・トリパシ
- ファン・ジュノ / ウィ・ハジュン
ファン・ドンヒョク監督は、シナリオ初期の段階から主人公とその幼なじみ役のキャステイングは「イ・ジョンジェ」と「パク・ヘス」と決めていたらしい。
イ・ジョンジェ の Instagram
主人公を演じたイ・ジョンジェが10月2日に自身のインスタグラムを開設した。わずか3週間足らずでフォロワーがもう400万人に届きそう。(10月19日現在)
チョン・ホヨン の Instagram
ファッション・モデルであるチョン・ホヨンはイカゲームで女優デビューし、瞬く間に世界のスターとしてのし上がった。40万人だったInstagramのフォロワー数が2130万人になっている。(10月19日現在)
ウィ・ハジュン の Instagram
ウィ・ハジュンのフォロワーは、配信前より14倍近い約869万人(10月19日現在)
イカゲームはおもしろい?
間違いなくおもしろい。ただし、見る人によっては微妙な後味の悪さを残すかもしれない。
それはギリギリのラインで描かれる残酷な描写かもしれないし、ギリギリのラインで描かれる人間の欲深さ、清々しいほどの生に執着する業の深さかもしれない。
もし自分が生き残るために、大切な人を貶めて命を奪う選択を迫られた時、それでも自分は生き残る道を選択できるのか。性善説のうえで成り立つこの社会に究極の欲と絶望を突きつけられた時、人はどのような選択をするのか。考えただけで末恐ろしい。
まさかの勝手にグッズ展開!?
VANS(ヴァンズ)の白スリッポンが爆売れ
イカゲームの配信以降、世界中でヴァンズの白スリッポンの売上高が7,800%増加したらしい。
いやいや、あんなの見て自分も履きたいと思うか???
んー、思うんだろうな。
ちょっと待てよ。まさか・・・
ジャージあるのかよ(笑)
ハロウィン・コスプレ祭り
IZ*ONEのキム・ミンジュまで。これはもうビッグウェーブおじさんが出てきてもおかしくないレベル・・・
とりあえず見繕っておいたのでハロウィン衣装にいかがですか?
イカゲーム好きなら こちらの映画もオススメ
LIAR GAME
おなじみライアーゲーム。イカゲームにも大きな影響を与えた問題作。
カイジ
友人の保証人となり多額の負債を抱えてしまった主人公「伊藤開司」が命をかけて一攫千金を狙う。
ハンガー・ゲーム
文明が崩壊し独裁国家と化した近未来アメリカの話。16歳の少女が描くサバイバルアクション。
神さまの言うとおり
教室に突然現れたダルマから始まるサバイバル・ゲーム。
バトル・ロワイアル
日本におけるデス・ゲームもののパイオニア的作品。社会にも様々な影響を残している。
GANTZ
人気コミックの映画化。日本のSFとしてはなかなかの会心作。原作知らなくてもオススメ。