この記事は前回の続きです。先に読んでおくと、より理解が深まります。
前回はVerse部分、特にBeatを中心に解説した。今回はビルドアップとドロップ(サビ)部分を実演してみる。前回と同じくパート毎に音源を貼り付けておくので、聴きながら読み進めて頂ければ幸い。
まずは表題曲を聴いてみて
スマホからご覧の場合、上記のように表示されることがあります。その場合「Listen in browser」をタップして頂ければ音声が再生されます。
Build Up(ブレイク)
ビルドアップとは、バース(歌メロパート)とドロップ(サビパート)のつなぎ部分、文字通りテンションを高めていく盛り上げパート。特徴は、それまでのビートをいったん区切って音数を減らし、Riserノイズとスネアの連打で密度を高めて、ブレイクを挟んで一気にドロップ(サビ)になだれ込むパターンが多い。「静と動」的な演出だね。
お決まりというか御作法というか、これがないと締まらない。
アントニオ猪木で言うところの「1、2、3、ダー!」と同じ。(違う)
Riserノイズは、徐々に大きくなっていく「シュワ~~~~!」って感じの風切りっぽい演出音。
この曲で実際にやってることはビルドアップのサンプルフレーズをいくつか切り貼りして、ライザーを重ねてるだけ。サンプルそのままだと芸がないので、複数を使い分けてオリジナル感を出す。
画像は曲中で使われているRiserノイズのサンプル。ロングスイープのラスト部分に、短いリバースシンバルを重ねてスパッ!と空気が切れるイメージを強調している。今回は説明用にシンプルに作ったけど、実際はもっと複数の音を足して作り込む。
音像もナローな感じでややセンターに寄せてミニマル感を演出する。音量控えめ低音も控えめ。次に来るドロップで音をワイドに広げて対比を生み出すワケ。
左のEQがドラムサンプルで右のEQがRiserサンプル。ノイズ系ライザーは結構な低音が含まれているものが多い。しっかりカットしておこう。低域はキックとベース以外ぜんぶ邪魔。いらない。
Brass
これはエフェクト処理されていないすっぴんの音。音源はMassiveのプリセット?だったと思う。
このまま混ぜても締まりのない、うすーいシンセ音にしかならないのでプラグインを挿して存在感ある太いサウンドに仕上げる。
処理後。
見違えるように太く存在感のある音になった。やってることはS1で左右を広げてOneknob Driverでゴリゴリに歪みとコンプレッションを加えた。以前の記事でも書いたけど自分はOneknob Driver愛好家だ。このような処理でいちばん光る。
同じ質感を求めるならコンプ・サチュレーター・EQを使うところ、コイツひとつでぶっとくなる。欲しくなって来ただろう?Oneknobはいいぞ 買うべし!
Lead
まずは完成形。
実はこのリード、3つの音を重ねてある。
LEAD1
LEAD2
LEAD3
どうだろう。実際それぞれを聴いてみると納得してもらえたと思う。どれかが欠けても物足りない。
補足しておくとLead1が基本になっていて、Lead2がモジュレーション的なレゾナンスの効いた音。Lead3は打ち伸ばし時のルート感の補強。
プラグインはRBass → Oneknob Driver → REQ → PuigChild → S1
ベースでもないのに何故RBass?と思うかも知れないが、これが意外と効いてくる。
「後のEQでローカットしてるのに意味なくね?」
いや、このような歪んだギラギラした音色にリッチ感を足してくれるのがRBass。ギンギンなディストーションギターのボトムが欲しい時にも使えるぞ!但し気持ちよくて過剰にやってしまいがちなので気をつけよう。
Pluck
この音も、実際には2つのレイヤーから成り立ってる。
Pluck1
Pluck2
Pluck2の硬いアタック感が混ざることで存在感が増している。曲中はほとんどアタックしか聞こえないのでトコトン強調する。
低域はしっかりカットして左右に思いっきり広げる。ここでもOneknobが効いてる。万能調味料。
Vocal
実のところボーカルはそんなに凝ったことはしていない。というのも元素材のサンプルが悪くなかったから。強いて言えばドロップでLEADに負けないように倍音を補強したぐらい。
最後に(あとがき)
ということで2回に渡ってBLACKPINKタイプK-POPの作り方を実演してみた。荒削りではあるものの、それなりにツボは押さえてあると思う。
あと、プラグインに関してはここに書いてある以外の処理もふんだんに盛り込んでいる。記事で紹介したのは主に音作りに関連したプラグインの使い方のみ。実際はミックスのバランス取りに全トラックコンプと補正用のEQその他諸々を使用している。パート毎にバスも複数立ち上げているのでそこまで解説すると記事の量が数倍に膨れ上がるので勘弁してほしい(泣)
今回の表題曲はフルサイズをSoundcloudの方にUPしておくので気に入ったら聴いてみてほしい。
またネタが出来たらこういった企画は続けていこうと思う。いつになるかは分からないけど。
それではまた!